WRITER 今任
福岡でエアコン一台で全部屋同じ温度になる家を建てている、健康住宅株式会社の今任がお届けします。
今回は井戸について少しお話しさせていただきます。
ひとくちに井戸と言いましても、今は殆ど見かけなくなった手掘り井戸(井桁井戸)や、さく井(さくせい)井戸など、いくつか種類があります。
まず手掘り井戸ですが、ほとんどが浅井戸ですので、川の近くなどの水脈が浅いところでないと枯れることがあります。昔は台所やお風呂の近くに掘ってありました。
この井戸は周りの環境変化に左右されやすいので、設置するときの注意点がいくつもあります。
・下水や汚水に汚染される恐れのある場所(下水溝、トイレ、畜舎などの付近)から出来るだけ離す。(3m以上)
・雨が降ったときに井戸が水没したり、雨水が流入しない構造にする。
・密閉式のふたや防虫網をつけた通気口を設け、雨水やゴミ、虫などが入らないようにする。
・井戸周辺に部外者や動物が侵入しないよう、柵を設置したり、鍵をつける。
・飲用開始前に水質検査を行い、基準に適合しているか確認をする。
・なるべくそのままでの飲用は避け、塩素消毒や煮沸を行った上で飲用する。
また、井戸を使用しながら生活するときの注意点もあります。
・飲用時には、水に濁りがないか、色やにおい、味に異常がないか確認する。
・井戸の周辺を清掃し、清潔に保つ。
・井戸の設置(ポンプや井戸のふたなど)は定期的に点検し、故障や破損があれば修理する。
・定期的に(一年に一回程度)水質検査を行う。
次にさく井(さくせい)井戸ですが、特に深い井戸を指します。機械を使って地面に穴を掘り、地下水を組み上げます。(一般的にボーリング工事といいます)
国土交通省の建設業許可においてこの工事を行う業者は、「さく井工事業」という業種になります。このような業種は種類も多く以下のように分類されます。
・さく井工事→井戸ボーリング工事
・観測井工事→地盤沈下がどの深さにおいて、どの程度の速さで生じているか、地下水位の状態はどのようになっているかを、観測するための井戸を掘る工事
・温泉掘削工事→温泉を掘る工事
・さく孔工事→コンクリート構造物の床、壁、天井などに穴をあける工事(コンクリート内の鉄筋、電線、配管を切断しないよう、非破壊検査で調べておく)
・石油掘削工事→石油を掘る工事
・天然ガス掘削工事→ガスを掘る工事
・揚水設備工事→動力を用いて地下水を採取するための設備を設置する工事(揚水機の吐出口の断面積が、6平方センチを超えるものをいう等の条件があります)
このように、深い井戸を掘る井戸業者は建設業許可が必要です。
複雑な仕組みをしている地下水は、数メートルずれただけでも、水量が全く異なる場合があり、プロが掘削工事をしても100%水が出るという保証はありませんので、「100%出ます」という業者は気をつけたほうがいいと思います。井戸掘削実績があり「水が出ない場合の確認をする」など一定の保証をしてくれる業者さんを選ぶようにしましょう。
また井戸水は周辺環境の変化や地震や水害等により、水質が変わったり、それまで出ていた水がでなくなったりことがあります。
自然の仕組みなので予想できない変化もあることを理解したうえで設置し、設置者が責任を持って周辺環境を管理することが重要です。
今回はここまでです。次回はさく井の工事方法について、お話しいたします。
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