天神のメインストリート「渡辺通り」の由来をたどる

天神を歩いていると、必ず目にする大きな通りがあります。

「渡辺通り」――ミーナ天神付近からホテルニューオータニまで続く、福岡のメインストリートです。買い物や通勤などで利用している方も多いのではないでしょうか。

そんな「渡辺通り」の名前の由来、ご存じですか？
実は、紙与呉服店の三代目・渡辺與八郎（よはちろう）氏にちなんで名付けられました。

明治時代、九州大学の誘致をめぐって福岡・熊本・長崎が競っていたころ、與八郎氏は多額の資金や土地を提供し、福岡への誘致を大きく後押ししました。

さらに、現在の西鉄の前身となる「博多電気軌道」の設立にも尽力。天神から博多駅、築港を結ぶ路面電車を整備し、都市の基盤づくりに貢献しました。
道路や橋の整備を自らの使命と考え、私財を投じるだけでなく銀行からの借入までして事業に取り組んだと伝えられています。
表に立つことを好まず、裏方として街の発展を支え続けた人物でした。

ちなみに、渡辺家の紙与呉服店は、現在「紙与産業」として不動産業を営み、大丸福岡天神店のビルなどを所有するなど、今も福岡の街づくりに深く関わっています。